栗山丈のミニさんぽ 16 横浜山手 神奈川近代文学館

〜見知らぬまち歩き 16    〜 横浜山手 神奈川近代文学館

 港の見える丘公園内の神奈川近代文学館で2023年11月26日(日)まで「井伏鱒二展」が開催されていたので、見学に行って来ました。根岸線石川町駅で下車し、元町を経由して、貝殻坂を登って山手町の山手本通りまで上がって行く。...がその前に少しだけ寄り道。1888年からの老舗、創業135年の「ウチキパン」です。

 店内は購入店舗型でイートインできるスペースはありません。多くの客がいて繁盛しているので、カレーパン(200円)、あんドーナツ(200円)を速やかに購入して、近くの公衆ベンチで座って食べました(買ったパンの写真は無し。撮り忘れ)。

 貝殻坂を登り切って、山手本通りを歩くと外国人墓地が歩道沿いに異色なイメージで視界に広がり、横断歩道を渡り切れば、港の見える丘公園に到着。公園内の草木はよく手入れがなされていました。港の展望できるところから海を見下ろしてみるが、陸地のビルと海の光景はザワザワとしていて、眺めがいいとは決して言えません。

 大佛次郎記念館を超えて、霧笛橋を渡れば公園の一番奥の静かな木立の一画に神奈川近代文学館はひっそりと姿を見せます。中に入ると、神奈川にゆかりのある作家の常設展と井伏鱒二展に分かれていました。
 井伏のほうはかなりの原稿や手紙、パネルなどの資料の展示がされていて、他の文豪や批評家らとの広い交流が窺われます。井伏自身が好かれる性格から、幅の広い交流関係があったのではないかとも推測ができます。笑った顔は何とも愛嬌があって、ほとけ様のような顔立ちに思わず手を合わせたくなってしまうほどでした。

 最近はまた、井伏の作品を本屋ではコーナーを作って、プチ井伏ブームでもあるらしいです。長年、荻窪に住んでいた旧家もまだ残っているというから、お近くの方は散歩がてらに見に出かけるのもいいかもしれません。


                                         (2023.10.6)