栗山丈のミニさんぽ 20 名古屋城

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〜 見知らぬまち歩き 20    〜 名古屋城

 2日間の名古屋市内の滞在で、困惑したことがあります。まず駅がだだっ広く、駅前の出口、ロータリーなどの位置関係に迷ってしまいました。でも、よく言えば拓けたまちづくり、そして初めて接する独自の文化に新鮮な味わいも感じました。

 名古屋の名物は味噌煮込みうどん、海老ふりゃあ、名古屋コーチン、ういろう等の数々が挙げられますが、味噌煮込みうどんと海老ふりゃあは食べてきました。

 でも今回ご紹介するのはこちらです。

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 鮪小屋本店の鮪唐揚定食(1300円)です。場所は北側のエスカ地下街名古屋駅からは近い場所です。鶏の唐揚よりしつこくなく、サッパリとしていたのでおすすめです。

 次は地下鉄桜通線名城線と乗り継いで名古屋城へ向かいます。

名古屋城駅で降りて地上に出ると、もうそこは名古屋城内の入口です。

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 城内の敷地も広く、オシャレな飲食店、土産物屋さん、きしめん店もありますので、半日はゆっくりと過ごせます。

個人の入場の場合は入場料は500円。

本丸御殿は公開していて、城内の入場券で観覧することができます。

ただし、本丸は施設老朽化のため、立ち入りは禁止されており、地上から外観を鑑賞するだけになっています。

外から観るだけでも、この城が他のものよりも、規模が壮大なことに圧倒されます。

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 その他、この日は城内でつばきの鉢植え、切花の展示会が行われていました。この季節だけだとは思いますが...

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 また、城内には加藤清正公の石曳きの像を見ることができます。

当時、清正公は築城の際に石曳きの任務に割り当てられ、石垣の巨石の上に自ら乗り、音頭をとったと言われています。
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 城の周囲の街並みは非常に近代的なイメージが残りました。愛知県庁舎、市役所庁舎、愛知県警、国税局などが立ち並ぶ官庁街です。やはり名古屋市内は拓けているんですね。

 

              (2024.3.4)

 

栗山丈のミニさんぽ 19 愛知県岡崎市

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〜見知らぬまち歩き 19 〜  愛知県岡崎市

 

 NHKの2023年の大河ドラマ「どうする家康」を一年間見終えて、どうしても岡崎城を見ておきたいと思って、岡崎までやって来ました。

家康公の生誕の地として有名ですが、降り立った名鉄線の東岡崎の駅一帯は穏やかで、暮らしやすい町のイメージがありました。駅前は飲食店が多く立ち並んでいます。

 まず乙川に出ると、とても気持ちのよい開けた光景に巡り会うことができます。

河川はサイクリングやウォーキングができるように整備されているようです。

殿橋を渡って反対側のサイクリングロードをずっと西に向かって5分ほど進むと、岡崎公園が視界に入ってきました。岡崎城はこの公園内にあります。そのほぼ中央に岡崎城天守閣がそびえていました。

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 城の入り口までたどり着き、入場券(大人300円、小人150円)を購入し、中に入ります。

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 1階から4階までは岡崎市の歴史、家康公の時代の岡崎市の城下町の様子などがうかがえる展示や映像などを見て岡崎城そのものを知ることができるようになっています。

 その上が展望室で360度見渡すことができます。それほど高い位置ではありませんので、市内の近隣の街の様子がよくわかるようになっていました。

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 知らない街にやって来ると、初めての光景を目にできて、日頃のストレスを発散・解消できる効果があると思います。

 わたしはこうしたまち歩きはいつもワクワクが止まらないほうのですが、今回も歴史を体感できる素晴らしさというものが読者の皆様にも伝わればとても嬉しく思っています。お近くの方はぜひ直接お出かけにもなってみてください。

  

                                           (2024.3.4)

 

 

栗山丈のミニさんぽ 18 愛知県犬山市

〜 見知らぬまち歩き 18   〜  愛知県犬山市

 戦国時代は織田氏の所領であり、江戸時代には尾張藩付家老である成瀬氏の城下町として発展した愛知県犬山市。国宝犬山城とともに当時の町割りが現在も残っています。明治から数回の合併を経て、昭和29年4月1日に犬山町ほか城東村、羽黒村、楽田村、池野村の4村が合併して犬山市は誕生しました。

 

 犬山は名古屋から名鉄快速特急で30分ほどで行くことができます。名鉄犬山駅を下車して西口に降り立ちました。そのまま西に県道を400Mほど進むと、右側に急に賑やかな通りが現れます。ここが本町通りで、当時の犬山城下の風情漂う街並みが残っているので、犬山城に行くのはこの通りから行くのがおすすめです。


 当時の家屋などを活用して、飲食店、雑貨店、お土産屋が建ち並び、観光客で賑わっていました。この風情を楽しみながら、まっすぐ600Mほど進むと、小高い山の上にそびえ立つ犬山城入口に到着しました。


 登城入口に猿田彦神社三光稲荷神社、針綱神社の三社が城の安全を見守るかのように並んでいます。この中の三光稲荷神社で旅の安全と商売繁盛を祈願して、城へと向かいました。少しだけ小高い丘にそびえる犬山城からは南側に犬山市内、西から北側にかけて木曽川を挟んで岐阜市を一望できる眺めが素晴らしいです。当時は名古屋城岐阜城清洲城などを監視しやすい位置にあることがわかります。


 犬山城のみの入場は大人で550円、その他の文化資料館、どんでん館の入場券付が760円、その他の各種周遊券も取り揃えています。
まずは本丸の最上段へ。この日は日曜日ということもあって、40分待ちでした。しかし、待った甲斐があり、視界に飛び込んだ市内城下町と木曽川の遠景はとても素晴らしいものがありました。絶景を十分に堪能して、城内の茶店で休憩して甘酒を味わいます。

 駅からずっと歩いて来て、疲れているときにこの甘酒は安らぎの一杯となりました。こちらではお土産品の販売も行っていますが、先ほどの本町通りでも、お店は多いので買うこともできます。
 また、犬山市文化資料館(IMASEN犬山からくりミュージアム)も本町通り沿いにあるので、単独の入場料は300円ですが、先程の城内でセットで買うと割安になるのでお得になります。

 

                                          (2024.3.3)

 


[歴史的な説明は犬山市ホームページより引用させていただきました]

 

栗山丈のミニさんぽ 17 亀戸 

〜 見知らぬまち歩き 17    〜  亀戸 

 かれこれ30年ぶりくらいで亀戸駅を降り立ちました。夕方に日本橋で予定を抱えていたのですが、その前にコンサートプラン・クセジュ主催の「Christmas Songの時間」というコンサートが亀戸天神社近くのライティングハウスTOKYOで催されるので、早めに到着してまち歩きをしてそれから間に合わせようと思っていました。

 亀戸に来たら、何と言っても気になるのは亀戸餃子です。北口駅前の先の細い路地を入ったすぐのところに「名代亀戸餃子本店」はあるのですが、早速行ってみると、ちょうどお昼時でギュウギュウに混雑していたので、コンサート鑑賞終了後にもう一度来てみることにしました。とりあえず、その近くのエクセルジオールコーヒーでサンドイッチとホットミルクで空腹をしのぎました。

 

 そして、都道306号を北へ400mほど向かうと、亀戸4丁目の交差点の角に亀戸梅屋敷という観光スポットがありました。そこでは江戸下町の名産品の販売や観光案内などが行われていました。コンサートの開演時間に間に合わせなければならないので、こちらサッと見るだけにとどめて、次へ向かいました。

 

 さらにこの交差点を錦糸町方面にまた400mくらい進むと、いよいよ亀戸天神社の正面入口が見えてきました。手水を済ませ、本殿をお参りをします。天神様は菅原道真公を祀っているため、一般的には学問の神さまです。しかし、祈ることと言えば、この先の仕事のことくらいで商売繁盛を祈願しました。

 

 そして、開演前に天神社のすぐ左側の通りにあるライティングハウスTOKYOに到着。照明器具のショールームのような感じですが、グランドピアノがあり、サロン風のミニコンサートができるようになっています。アンティークな建物で中はとても落ち着いた空間です。

 

 コンサートは歌唱力のあるメゾソプラノ、アルトの歌手の方々がピアノ伴奏や曲により打楽器を入れ、クリスマスの時期にちなんだ曲を披露するというスタイル。現代の作曲家の伴奏による編曲ものや関係作品も演奏され、クリスマスにちなんだ曲もこれだけあったのかと思わせるほどで、なかなか聴きごたえのある曲が並んでいたと思います。

 今回は未就学児の入場もウェルカムで、内容が非常にバラエティであり、会場内も主催者の進行で賑やかに進められました。観客に飽きさせないために、歌手の指導による全体での歌唱も織り交ぜる工夫もされていました。休憩時間中はドリンクとお菓子のサービス付き。最後まで楽しめる内容でした。
 子供も保護者と一緒に椅子に座って聴いていたようでしたが、時間とともに座っていられなくなりましたね。保育エリアみたいなマットを敷いたスペースなどがあってもいいかもしれません。

 コンサートを十分に堪能をしてから、街の光景を観察しながら亀戸駅に向かいました。天神社の周囲にはそれに関係する名産品を売る店もあります。目についたのが、“天神煎餅大野屋”の看板を掲げた煎餅屋さん。多種多様な商品が陳列されているのが外から見てわかったが、店内に入らずに先を急ぎました。

 

 午後3時30分。さて、今日どうしても食べたかった亀戸餃子。果たして店は入れるのだろうか? 不安な気持ちで到着して店のなかを覗いてみると......

 やっぱり満員でした。ガックリと肩を落として、次の用事まで1時間しかないのであきらめようと近隣の商店街を歩いていると、なんと「餃子」という看板を発見。“亀戸餃子藤井屋”とあります。すかさず近づいてみると、確かに亀戸餃子を食べさせてくれるお店で、店内に客は3人のみ。これは入るしかないと思って、注文したのが写真の
バリバリ餃子のミックス定食 690円
レモンサワー 430円

餃子本来の野菜と肉のうまみが口のなかに広がり、感動的な美味しさでした。亀戸に来た折にはぜひ食べてみることをお勧めします。

 

 次の私用にも何とか間に合ったし、今回は素晴らしいまち歩きができました。ここには書かませんでしたが、カフェで作曲していた時に優しく声をかけてくださったピアノをしているお嬢さんなど、いい出会いにも感謝したいと思います。また、コンサートにお誘いいただいたSさんを始め、音楽仲間の皆さんにも心から感謝を申し上げます。


            (2023.12.2)

栗山丈のミニさんぽ 16 横浜山手 神奈川近代文学館

〜見知らぬまち歩き 16    〜 横浜山手 神奈川近代文学館

 港の見える丘公園内の神奈川近代文学館で2023年11月26日(日)まで「井伏鱒二展」が開催されていたので、見学に行って来ました。根岸線石川町駅で下車し、元町を経由して、貝殻坂を登って山手町の山手本通りまで上がって行く。...がその前に少しだけ寄り道。1888年からの老舗、創業135年の「ウチキパン」です。

 店内は購入店舗型でイートインできるスペースはありません。多くの客がいて繁盛しているので、カレーパン(200円)、あんドーナツ(200円)を速やかに購入して、近くの公衆ベンチで座って食べました(買ったパンの写真は無し。撮り忘れ)。

 貝殻坂を登り切って、山手本通りを歩くと外国人墓地が歩道沿いに異色なイメージで視界に広がり、横断歩道を渡り切れば、港の見える丘公園に到着。公園内の草木はよく手入れがなされていました。港の展望できるところから海を見下ろしてみるが、陸地のビルと海の光景はザワザワとしていて、眺めがいいとは決して言えません。

 大佛次郎記念館を超えて、霧笛橋を渡れば公園の一番奥の静かな木立の一画に神奈川近代文学館はひっそりと姿を見せます。中に入ると、神奈川にゆかりのある作家の常設展と井伏鱒二展に分かれていました。
 井伏のほうはかなりの原稿や手紙、パネルなどの資料の展示がされていて、他の文豪や批評家らとの広い交流が窺われます。井伏自身が好かれる性格から、幅の広い交流関係があったのではないかとも推測ができます。笑った顔は何とも愛嬌があって、ほとけ様のような顔立ちに思わず手を合わせたくなってしまうほどでした。

 最近はまた、井伏の作品を本屋ではコーナーを作って、プチ井伏ブームでもあるらしいです。長年、荻窪に住んでいた旧家もまだ残っているというから、お近くの方は散歩がてらに見に出かけるのもいいかもしれません。


                                         (2023.10.6)

栗山丈のミニさんぽ 15 大磯  

〜 見知らぬ街あるき 15    〜   大磯 

 静かで落ち着きのある街の印象である大磯ですが、駅前は予想外に人通りが多いです。駅前でとても目立ったお店が“ほっこり桜cafe”と“地場屋ほっこり”。この2軒とコンビニのみしかなかったように思います。


 地元の野菜や多彩な食品を手広く販売するとともに、軽い食事もできるようです。この先に、飲食店があるのかどうかもわからなかったので、ここで食事をとることにしました。
注文したのはトーストセット(サラダとミニキッシュ付き)で、ドリンクは色々な飲み物をチョイスできるようになっているので、地元で作られたオレンジジュースにしました(写真:メニューにチーズケーキがあったが、今回は注文はしなかった)。

 お腹いっぱいになったので、店内をゆっくりとひと通り見学した後に、まずは島崎藤村菩提寺、地福寺へ。その途中では、旧木下家別邸の洋館が目に留まります。海岸沿いでもあるので、潮風と自然豊かなこの地にかつては多くの別荘がありました。かなり先には旧吉田茂邸もあります。現在の旧木下家別邸は平成24年に国有形文化財に指定されていました。

 別邸の右脇をさら下ると、5分ほどで地福寺に到着。境内は多くの梅の木が植えられていて、小ぢんまりした寺です。その本堂に向かって左側に静子夫人と並んで墓はありました(写真)。二人ともとてもシンプルな墓石で、広めの墓の敷地に四角柱のような長い石がスッと立っています。墓のイメージよりも近代的な記念碑やモニュメントのようでした。深い感慨にひたりながら、墓前で手を合わせ一礼させていただきました。

 国道1号線を出ると、なんだか避暑地の様子がよりはっきりとしてきました。昔ながらの食料品店、お饅頭屋などが目に入ってきます。

 そして、さざれ石交差点前で視界に入ってきたのは“井上蒲鉾店”。店舗は新しくて清潔感が漂い、若い店員さんが慣れないながらも笑顔に溢れていました。普通に蒲鉾を買おうとしたら、今日は売り切れで、あとは薩摩揚げしかないと言います。10個セットで900円とのことですが、今は妻と二人暮らしだから食べきれないと思ったので、バラで6個購入しました。家に帰って焼いたものがその写真です。何もつけなくても、従来の練物の味がしっかりとしてめちゃくちゃ美味。もちろん生姜醤油で食べれば抜群です。

 さて、お店を出て更に1号線を西に向かってみます。陽射しが強い季節で、日陰がそれほどない中で意識がもうろうとしてきた時に見えて来たのが、「湘南発祥の地」の石碑と「鴫立庵」です。何でも現地の案内板によると、1664年に小田原の崇雪がこの地に鴫立沢の標石を建てた時に「著盡湘南清絶地(ちょじんしょうなんせいぜつち)と記されたことが由来となっているとのこと。また、1695年に大淀三千風が第一世庵主となり、京都の落柿舎、滋賀の無名庵とともに日本三大俳諧道場と言われていたそうです。(入場は有料)。

 そして、さらに西へ。1号線を渡り、「旧島崎藤村邸」の看板が目につき、すぐに案内のとおり横道を右に入ります。案内どおりに行くと、3分ほどで到着しました。

 受付の方がいたので「大人二人」と告げると、「どうぞそのままお入りください。邸内には入れませんが、庭から開放したお部屋をご覧いただけます」
まさか入場が無料だとは考えもしませんでした。ありがたいと思いながら、庭へ向かおうとすると、
「こちらをよろしければどうぞ」
といただいたのが、ここのパンフレットと写真の団扇でした。

「涼しい風だね...」

今の季節にホッとできるひと言。

 


 藤村は晩年の約2年半を神奈川県の大磯の質素な家で過ごしました。「東方の門」を執筆中の昭和18年8月22日、このひと言を言い残し、そのまま亡くなったと言われています。亡くなる直前の最後の文人の言葉に、深い味わいを感じます。この話をパンフレットから読んで、しばらく感慨にふけっていました。

                                           (2023.8.31)

栗山丈のミニさんぽ 14 小田原 ②

〜 見知らぬ街あるき 14     〜  小田原 ②   

 

 小田原にゆかりのある文人は以外と多いです。
小説家では尾崎一雄牧野信一川崎長太郎谷崎潤一郎佐藤春夫坂口安吾など、また詩人では北原白秋三好達治、脚本家では北條秀司、岸田國士などがいます。


 駅南口に出て城堀沿いに20分ほど海岸のほうに向かうと、閑静な住宅地の一画に「小田原文学館・北原白秋童謡館」が見えてきます。敷地内に入ると、まず洋風建築風の文学館と緑鮮やかに庭園が姿を見せました。木陰には森林浴が楽しめるように、青銅のテーブルと椅子が用意されているのが印象的でした。


 その奥を更に進むと尾崎一雄邸書斎、北原白秋童謡館が姿を見せます。来館を歓迎するかのように北原白秋の「赤い鳥小鳥」の愛らしい石碑が出迎えてくれます。


 童謡館は白秋が大正7年から8年間、他の地区に住んでいた住居を移築したもの。館内ではちょうど白秋の自筆の原稿や写真が多数展示しており、創作活動の足跡をたどることができます。「からたちの花」、「この道」、「ペチカ」、「あめふり」、「あわて床屋」、「待ちぼうけ」など多くの人々に愛されている童謡をモニターで聴くことができました。あらためて聴いてみると、白秋の詩の心地よさ、作品の重要性、詩人としての偉大さを感じます。


 その後に文学館に戻り、先の文豪の一般展示を見学。当時の執筆原稿の展示はもちろん、生活の様子が偲ばれるものが多くありました。


 これらの施設を後にして、駅に向かう途中で1号線沿いに気になる店舗を発見しました。
「薄皮あんぱん」と看板が出ている“柳屋ベーカリー”(写真)。これはゲットしなくてはと店内に行ったらすべて売り切れで(この時点で午後2時)、クリームぱん3個しか残っていない状況。愛想のいい女将さんが「すぐに売り切れてしまうもので、申し訳ありません。いらっしゃる前に電話でどうぞご予約くださいませ」と電話番号が掲載されたチラシを一枚手渡してくれました。小田原に来てこちらに寄るときは、ぜひ事前に予約の上、ご来店ください。

 そしてクリームパン3個をゲットして小田原の街を後にしました。


いつ来ても、新しい発見のある町です。


             (2023.8.22)

栗山丈のミニさんぽ 13 吉祥寺

 

〜 見知らぬ街あるき 13    〜 吉祥寺

 中央線沿線の商店街をめぐり歩くのは自分の性に合っていると感じています。3年ぶりくらいで吉祥寺駅に降り立ちましたが、なかなか広い町なので、半日では歩けないと思いましたので、線路から南側に絞って散策することにしました。到着したのはいいのですが、お昼の時間をすでにまわっていて当然お腹が空いています。連れ合いとどこかに入ろうと店を探しますが、どこもかしこも並んで待っている状態。結局、大通りは空いている飲食店はなく、井の頭公園へ抜ける狭めの路地に入ると、ドトールコーヒーがありましたので、覗いてみたらちょうど席は空いています。困った時のドトールコーヒーということでアイスコーヒーと大豆ミートハンバーガーを注文して、昼食としました。


 腹ごしらえをしたら、井の頭公園へ行くのかと言えばそうではなくて、例によって古本屋を巡ってみることにします。他に楽しみがないくらいの勢いで、店を後にしてまず向かったのは、JR南口に最も近い“古本センター”。繁華街に看板が出ているが、少し奥まったところに店舗はありました。昔ながらの雰囲気でオールラウンドの品揃えは嬉しいものです。お陰様で次の新作になりそうな掘出し物を発見(写真)。今はバッハとメンデルスゾーンに関する小説を書いているのですが、この『ブルックナーマーラー』は次のテーマにぴったりでした。


 「いい物を見つけた」とばかりに喜び勇んで、同じ通りにある先の“BASARA”へ向かいました。ここは店舗は広くない割にはお店も綺麗で、上手に書架を配置しているので、在庫が豊富に見えました。文庫本の品揃えが良いようです。


 欲しい物が特になかったので、次は少し離れた3軒目“よみた屋”へ。こちらは個人経営の本屋さん並みの広い店舗で在庫がかなり多いです。店主も若い方のようで、店員さんと楽しく仕事をしていたのが印象的でした。ここではハイネの芸術論の文庫本が目にとまり、どうしようか迷いましたが、結局、買うのをやめました。


 そして、4軒目は“古本屋のんき”で、広くはないですが店の印象がなかなか良く、入口の脇にある木製の看板がなんとも味があります。奥の見えないところにレジがあり、本も買わなかったので、どんな方が店主なのかはわかりませんでした。本も書棚に綺麗に整理されているので、しっかりとした方が経営されているのでしょう。


 都内に出ると決して若くはないので、割と疲れてしまいます。なので2時間ほど歩いたところで引き上げることにしました。予定通り駅の南口側を歩き終えたところですが、北口側は古本屋がまだ何軒かあるようなので、また来てみたいと思いました。

 中央線沿線の散歩はいつも古本屋めぐりの記録ばかりで、読んでいただいている皆様には本当に恐縮です。


                                                 (2023.8.6)

 

栗山丈のミニさんぽ 12 下高井戸

 

〜見知らぬ街あるき 12    〜 下高井戸

 世田谷線に乗って終点の下高井戸駅に降り立ちました。


 京王線との乗り換え駅ですが、快速と各駅停車しか停まらない小ぢんまりとした駅。落ち着いた駅周辺の様子からはこのあたりの住人のつづまやかささえ感じます。


 一枚目の写真をご覧ください。改札口を出て踏み切り正面を見ると、“下高井戸駅前市場”とある何とも趣きのあるアーケードが視界に入ってきました。昭和30、40年代に戻ったような趣きのある商店街です。入口入って突き当たりまでは短いが、線路に沿って横にお店が並んでいます。


 その中の昔ながらの魚屋さんに目が行き、店頭で威勢よく鰻をさばく様子がとても印象的で、しばらくレトロな雰囲気を味わい、次のスケジュールの目的地に向かいました。


 参考に駅前市場のホームページを下に挙げておきます。

 

https://sg50th.tokyo/simotakaido/ekimae_ichiba.html

                                           (2023.7.28)

 

栗山丈のミニさんぽ 11 溝口 大山街道

 

〜見知らぬ街あるき 11  〜   溝口 大山街道 

 高津図書館での会議の後、江戸時代中期に流行した大山詣に利用されていた大山街道を歩いてみました。

街道沿いにはところどころに今も蔵造りの店舗が残っています。

溝口村、二子村であったこのあたりは、江戸後期になると、伊豆や神奈川南部から江戸へ運ぶ物資の搬送路として利用され、それらを商う商人で賑わった宿場です。

 

 そのあたりの歴史や貴重な資料は街道途中にある“大山街道ふるさと館“で見ることができます(展示観覧は無料)。

そして街道と交差するニケ領用水。

江戸の初期に農業用水路として14年の期間をかけて、川崎領、稲毛領の32km間が小泉次太夫によって完成されたそうです。

 

 また二ヶ領用水沿いに約1kmほど北西に行くと、久地円筒分水という大変珍しい国の登録有形文化財があります(写真)。

水の分配量で各領の争いが絶えなかったことから、1941年に造られ大変優れた分水樋の事例として知られているようです。

 

 あとは、これからの生活と社会の安寧を願って、溝口の総鎮守である溝口神社へ。

参拝では個人のお願いごとは願をかけるより神様に感謝をするか、温かく見守っていただくお願いをするようにしています。

 

 今日も暑いので、どこかのカフェにでも入りたかったのですが、現地ではそれらしいところもなかったので、溝の口駅高架下にあるタリーズコーヒーまで戻って、冷たいアイスコーヒーで水分補給。

読者の皆さんにはくれぐれも涼しい季節でのウォーキングをおすすめします。

 

                                           (2023.7.28)

 

*記述にあたり、大山街道活性化推進協議会が設置した現地の案内板と川崎市のホームページを参考にしました。