〜 見知らぬ街あるき 14 〜 小田原 ②
小田原にゆかりのある文人は以外と多いです。
小説家では尾崎一雄、牧野信一、川崎長太郎、谷崎潤一郎、佐藤春夫、坂口安吾など、また詩人では北原白秋、三好達治、脚本家では北條秀司、岸田國士などがいます。
駅南口に出て城堀沿いに20分ほど海岸のほうに向かうと、閑静な住宅地の一画に「小田原文学館・北原白秋童謡館」が見えてきます。敷地内に入ると、まず洋風建築風の文学館と緑鮮やかに庭園が姿を見せました。木陰には森林浴が楽しめるように、青銅のテーブルと椅子が用意されているのが印象的でした。
その奥を更に進むと尾崎一雄邸書斎、北原白秋童謡館が姿を見せます。来館を歓迎するかのように北原白秋の「赤い鳥小鳥」の愛らしい石碑が出迎えてくれます。
童謡館は白秋が大正7年から8年間、他の地区に住んでいた住居を移築したもの。館内ではちょうど白秋の自筆の原稿や写真が多数展示しており、創作活動の足跡をたどることができます。「からたちの花」、「この道」、「ペチカ」、「あめふり」、「あわて床屋」、「待ちぼうけ」など多くの人々に愛されている童謡をモニターで聴くことができました。あらためて聴いてみると、白秋の詩の心地よさ、作品の重要性、詩人としての偉大さを感じます。
その後に文学館に戻り、先の文豪の一般展示を見学。当時の執筆原稿の展示はもちろん、生活の様子が偲ばれるものが多くありました。
これらの施設を後にして、駅に向かう途中で1号線沿いに気になる店舗を発見しました。
「薄皮あんぱん」と看板が出ている“柳屋ベーカリー”(写真)。これはゲットしなくてはと店内に行ったらすべて売り切れで(この時点で午後2時)、クリームぱん3個しか残っていない状況。愛想のいい女将さんが「すぐに売り切れてしまうもので、申し訳ありません。いらっしゃる前に電話でどうぞご予約くださいませ」と電話番号が掲載されたチラシを一枚手渡してくれました。小田原に来てこちらに寄るときは、ぜひ事前に予約の上、ご来店ください。
そしてクリームパン3個をゲットして小田原の街を後にしました。
いつ来ても、新しい発見のある町です。
(2023.8.22)